静かな人気を博している『短編つぶやき小説』ですが、主役はいつも、うさぎ達…
このブログは、森の喫茶店『なれあい』の仲間達が、自由気ままにゆる～い言葉をしゃべり続ける不定期のコーナーです。息づまった仕事や勉強の息抜きに、どうぞご覧ください！

（本日のブログ担当：パンダ）

#ガッガッガッガッガッガッ
#ガッガッガッガッガッガッ

・・・。

うさぽんから、なんか話してくれって言われたんだが…
なに話せばいいんだ？？

オレ…

あんまり、話すの得意じゃねえんだが…

#ガッガッガッガッガッガッ
#ガッガッガッガッガッガッ

まずは自己紹介？？

オレは、見たまんまのパンダだが
本名は、パンダ三男…
生まれた順番が、オレの名前だ。

趣味？？

趣味らしい趣味は、今まであまり無かったんだが
最近、洞穴づくりにハマってる。
つーか、オレ…

今までまわりに気ぃ使って、波風立てねえように生きてきたが
なんのために自分が、愛想笑いしてるのか分からなくなったっつーか…

愛想笑いしてる時間を、何か別のことにつかったら
オレ、どうなるのかなって思ったわけ。

でもよ、オレ。
趣味っつー趣味もなかったし
何が好きで、何が楽しいのかもよく分からなかったんだよな。

だから試しに、地面の土を掘ってみたんだわ。
土なんて、そこら中に腐るほどあるだろ？
金もかかんねえしよっ

そしたらよ…！
地面に穴があいたわけ！
当たり前だと言われるかもしれねえが、オレの行動で目の前に穴があいたんだ…
これって、すごくねえっ？！
やったことが、カタチになってすぐに見えるんだぜ？！！

でよ！
オレ、思ったわけ。
もしかして、オレの肉球に生えた毛…
穴掘って土にこすりつければ、取れるんじゃねえ？？って。

・・・。

オレよ…
ちと、コンプレックスがあったんだわ。

両手の肉球のことなんだが…
気が付いたら、いつの間にか肉球の毛がボーボーに伸びちまっててよ。
手を洗っても汚らしくて恥ずかしいし、
毛が邪魔で、細かい手作業がしづらいっつーか…

でもよ…！

！！！

ほら！全部！
オレの毛、全部抜けたから！
もう、一本も無いんで！

だからオレ…
穴掘って良かったわ…

でよ！
オレ、その時思ったんだ。

夢中で掘ってたら、
毛も抜けたし、穴もすげえデカくなっててよ！
目に見える変化って、やっぱりおもしれえなって！！！
何度見たって、そこにあるんだもんよ！！

・・・。

オレは今まで、けっこう頭で考えちまうタチでよ。

こうしたら、こうなる。
だから、これはしないでおこう、とか

失敗したら笑われるんじゃねえか、とか
誰かに迷惑かけるんじゃねえか、とか

まわりの反応がすげえ気になったり…
心配しなくて良いことまで、先にいろいろ考えちまってよ。

でよ！
自分を説得して、
今まで、いろんなことを諦めてきたわけ。

もしかして、
心配は全部、自分の頭が作り出してるもの…
そういうことかもしれねえな。

あたまの中で考えたことを
不安と一緒にどんどん書きかえて、時間とともに消しちまう…
オレの頭の中身は誰の目にも見えねえだろ？
消したところで、誰にもバレねえし、咎められることもねえ…

それによ！

生まれて今にいたるまでの経験や価値観は、みんな違うから
たとえ口に出して言ってみたところで、相手にうまく伝わるかもわからねえ。
だから、
言うだけ無駄だと思って、伝えねえままのこともたくさんある。
自分のことわかってもらうって、すげえ難しいんだよな…

だからかな？

だからオレ、
穴を掘ってみたくなったんだ。
穴掘りは、単純で分かりやすいし
結果もすぐに目に見えるだろ？！！

目的もなく、なんとなくはじめてみたけどよ
それも、穴掘りを楽しめる理由の一つだと思ってる…

だってよ！
大きな目的が存在しちまうと、
そこに進めてない状況自体が、楽しめない原因になっちまう！

オレの目的は、すげえ…小さい方が良いんだわ。

だってよ！
オレ、生きることを楽しみたかっただけっつーか…

オレにも好きなことを見つけてみたかったっつーか…

愛想笑いをやめた自分に、
居心地の良い居場所をみつけたかったっつーか…

洞穴なら、自分の世界に没頭できるだろ？

不思議なもんで、
穴掘ってるうちに、
カラダに筋肉がついてきたり、
寝つきも良くなってきたりで良いことづくめよ。

それに、オレのあたまに少しずつ
小さな目的が思い浮かぶようになった。

ギターっていう、ちょっと変わったうさぎが店にいるんだが
そいつがオレに言ったんだわ。

『もう少し掘れば、ここに布団を敷いて泊まれるな』って…

！！！！！

オレ、そんなこと
考えたこともなかったから！

あいつ、すげえバカだけど、
いつもすげえ自由で楽しそうでよっ！
あいつ見てると、オレ、羨ましくなるんだわ。

・・・。

オレも、あいつみてえに
難しいことなんにも考えねえで、
やりてえことやったら楽しいんだろうなって…

オレ、いつかここに泊まってみてえんだ。
友達とキャンプとか、
オレ、一度もしたこともねえし…

家に帰らねえと、家族が色々と心配するんでよ！
でも、オレだって…たまには良いよな？！

最近、
オレが穴掘った場所に、いろんなヤツらが遊びに来るようになってよ。
あいつら、
オレが愛想笑いなんてしなくても…勝手に遊びにきやがるんだ。

オレの掘った穴が、
誰かの居場所にもなってるっつーのも不思議なんだよな…

そう考えるとよっ！

オレの穴掘りも、無駄じゃねえのかなって！

！！！

そうさ！
無駄か、無駄じゃないかなんて
自分以外のやつらが決めることじゃねえだろう？！！

たとえ自分が、無駄だって思っちまってもよ！！！
忘れた頃に役に立つことだってあるだろ？？

死ぬ寸前まで、無駄かどうかなんて分かんねえしっ
一生懸命やった思い出が、
死ぬ間際に思い出されて…
オレ、あの時
すげえ頑張ってたなって思いだせたら
思い出がなんにもねえより、ずっと良いんじゃねえ？！！
だってよ！
生きてる時にしか、オレの思い出は作れねえんだからっ！！！

オレはこれからも
少しずつだが、穴を掘っていきたいと思ってる。

オレの洞穴は、オレの秘密基地だからよっ
誰にも邪魔されない、オレだけの秘密基地っ！
秘密基地ではあるが、遊びに来たやつは入れてやる…
出会ったのも、何かの縁だからよ。

！！！

＃ピョンコピョンコ
＃ピョンコピョンコ

＃やべえっ
＃ゲロ美とゲコ子が
＃もう戻ってきちまった

『パンダくん！
大至急、一緒に来てゲロゲッ！
けんちゃん先輩と
今日こそ、カラオケデュエットしたいゲロゲッ！』

『パンダくん…
お願いゲロ…
闇うさぎくんの洞穴…
暗くてこわいゲロ…』

#パサッ
#パサパサッ

！！！！！

#ガッガッガッガッガッガッ
#ガッガッガッガッガッガッ

#ガッガッガッガッガッガッ
#ガッガッガッガッガッガッ

悪いがオレ…
ここで、穴掘っててえからよっ

『レディが困ってる時は、
助けるのが紳士ってもんじゃないゲロゲッ？！！』

『パンダくん…
これ、食べて良いゲロ…
あたちが作った、ヨーグルト…』

ゲコ子が、
ヨーグルトのタッパーを両手にかかげていた。

#ガッガッガッガッガッガッ
#ガッガッガッガッガッガッ

・・・。

＃オレは
＃断る理由を探した

！！

オレ、ここで、穴掘っててえからよっ
懐中電灯、もう一個貸してやるわ！

！！！

『パンダくんっ！
レティ達の頼みを、断るゲロゲ？！！
それでも…
それでも男の子クァ？！！』

『パンダくん…
ヨーグルト、
とっても美味しいクァら…
味見してゲロゲ…』

＃パサッ
＃パサパサッ

＃はい
＃あーんしてっ

！！！！！

オレ、いま忙しいからっ…

うさぽんに頼まれて、
自己紹介しねえといけねえからよ！！

！！！！

『グェッ？！
自己紹介？！！
グァッたら、わたしたちがしてあげるゲロッ！

ほら！ゲコ子！
あんた、はっきり言っちゃいなさいグァッ！
パンダくんは、わたしたちの
正義の味方グァッって！！！！』

『そうゲロゲ…
パンダくんは…あたち達の、正義の味方なんだクァら…！
パンダくんは優しいから…
いつだってあたち達を、助けてくれるゲロ…』

！！！

#ガッガッガッガッガッガッ
#ガッガッガッガッガッガッ

オレは、どうやって断ったら良いのか分からなかった。

オレはただ、穴を掘っててえんだ…

多くのことは望まねえ…

どうか静かに、穴を掘らせてくれや…

＃パサッ
＃パサパサッ

ゲコ子が、
オレの口の前に、
ヨーグルトをのせたスプーンを近づけていた…

オレは、どうやって断ったら良いのか本当に分からなかった…

！！

＃パクッ

#うん
#うめえっ

！！！！！

＃やべえ
＃つい食っちまった

・・・。

しかたねえ…

ちょっとだし…

一緒に行ってやるか…

！！

今日はオレの話、聞いてくれてありがとな！！
オレは、特技っちゅう特技もねえし
みんなの前で話すの得意じゃねえからよっ

オレの自己紹介は、ここまでな！

今度会った時には、
オレにも特技が何かできてりゃあ良いんだが…

まあよっ！
焦らずぼちぼちやるわ。

＃よしっ
＃じゃあ行くか

＃ピョンコピョンコ
＃ピョンコピョンコ

＃ゴロッゴロッ
＃ゴロリゴロリ